White
White CEC LOGO HOME 製品 テクノロジー サービス 会社概要 コラム メール English White
White
タイトル

112
114

第113回 2010/03/01

「津波に始まった3月です」

 チリの大地震の余波を受けて、時ならぬ津波警報下で3月が始まりました(正式には1日午前3時にすべて注意報に切り替え)。チリの地震が起きたのは2月27日午前3時30分頃(現地時間)、マグニチュード8.8という巨大なもので、確認された死亡者数は700名強とのことです(1日現在)。このチリ大地震の引き起こした津波が日本の太平洋沿岸部にも波及、2月28日(日)は午前中から終日津波警報がマスメディアで流され続けました。

 太平洋を中心にして考えた場合、南半球のチリは東の端に当たります。そこから、太平洋の西端、それも北半球の日本列島まで海洋上の波動が伝わったのが、およそ22時間後でした(日本時間2月28日午後2時)。チリから日本までの距離が17,000キロですから、何と時速772km/Hで進んできたことになります。地球の各地域が海洋を通していかに関係しあっているのかが如実に分かると同時に、この地震の持っていたエネルギーの膨大さが推し量れます。

 多くの方がご存知のように、津波はTsunamiとしてそのまま英語圏でも使用されている、日本語を起源とする世界語です。津とは港のこと。港に災害をもたらす高波が、地震の多い日本では歴史的に繰り返され、恐るべき災害を表す用語の一つとして古くから語られてきたことから、20世紀後半から世界的に使用され始めたようです。とりわけ2004年スマトラ沖地震が引き起こした津波が、東南アジア諸国を広範囲に襲い、かなりの被害と相当数の死亡者を結果したことから、Tsunamiは一挙に世界語として定着した感があります。ウィキペディアによれば、Tsunamiを最初に英語圏に紹介したのはかのラフカディオ・ハーン(小泉八雲)であったようです(1897年)。

 波長の短い高波と異なり、海水面全体が盛り上がり、広い面積で、また急速度で押し寄せる津波は、海上を運航する船舶に対する衝撃はさほど報告されていませんが、港湾部を中心とした沿海部には甚大な被害を与えます。チリでも、死亡者のうち500名以上が沿海部であったことからすると、津波によるものでしょう。NHKの報道で、一部関東の漁港工に津波の撮影希望者が来ていることが報道され、危険性を繰り返していましたが、津波の高速性を知らない、まさに笑止です。

 今回は、遠隔地で発生し、到着時間とその強度(波高)が予測できたため、港湾部の器具、建物への被害を除き死傷者が無かったことは不幸中の幸であったといえます。

ユリカモメ

 津波騒動で始まった3月ですが、野には既に春を告げる花がすこしずつ咲き始め、冬鳥たちも繁殖地へ戻る準備を始めたようです。昨2月に、厳冬下のハンブルグを訪問しましたが、港町ハンブルグに多いユリカモメの一部に、夏羽への換羽を開始した個体を見つけびっくりしました。時折粉雪が舞い、路面は完全に凍結しているのですが、その中に首の部分が既に黒くなっているもの一羽、また黒くなりかけているものがもう一羽いたのです(ユリカモメの冬羽は、頭部が真っ白です)。

 生き物たちには、周囲の今の環境とは独立して、時が来れば季節が変わることを本能が教えているのかもしれません。今月末には、桜情報が聞こえてくることでしょう。これからは季節の変わり目、暖かくなっていく日々に突然真冬日が来ないとも限りません。良い音楽とともに、ご油断無くお過ごし下さい。

 

 




112
114