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第104回 2009/06/01
「クリムト・シリーズとは」

 沖縄地方では既に入梅したとの報道が流れ、関東地方でも5月の最週末はまるで梅雨を思わせるような雨模様の曇天が続きました。皆様お住まいの地域ではいかがでしょうか。気象庁の今後1ヶ月予測によりますと、全般的に平年並みで、曇りや雨の日が多いそうです(ただし、北日本では数日周期の天候の変化が見込まれています)。一日一日と緑が濃くなっていく中、天候に異変のないことがなによりです。

 さて、この5月には、DAコンバーター、DA53Nの発売を持ちまして、昨年10月に開催された東京インターナショナルオーディオショーにて発表しました新製品のすべてを発売開始することができました。これまで長く発売開始をお待ちいただきました皆様、大変ありがとうございました。従来のCDプレーヤーCD3300Rに代わるCD3800、 コントロール・パワーアンプAMP3300Rに代わるAMP3800、また、ヘッドフォンアンプHD53Rに代わるHD53N、D/AコンバーターDA53に代わるDA53N、合計4モデルが本年になりまして順次ご紹介させていただきました新しいラインアップでございます。おかげさまで、当社の予測を上回るご評価をいただき、一部の皆様にはお待ちいただかなければならない状況を呈することもございますが、生産サイドの100%の協力を得て、それほどのご迷惑をおかけすることなく販売店様にお届けできるよう全力を尽くしております。

The Music

 5月23日より、東京有楽町の交通会館にて開催されました、「ハイエンドショウトウキョウ」でも何社様かにより上記4モデルをそれぞれご使用頂き、高い評価を頂くことができました。あらためて、業界関係者の皆様、ご来場いただきました皆様に心から御礼申し上げます。

 さて、この「ハイエンドショウトウキョウ」の「逸品館」様のブースで、国内の皆様には初めて、ウィーンアコーステック社のフラグシップモデル、The Music(ザミュージック)をお聴きいただきました。今回は、このウィーンアコーステック社製スピーカーのトップラインの背景についてご説明いたします。

 一部の皆様は既にご存知のように、オーストリアの首都ウィーンに本社を置きますウィーンアコーステック社では、従来開発してきたスピーカーのモデル名に、ウィーンに関係してきた作曲家の名前を付けてきました。例えば、S-1は、ハイドン、T-2はモーツアルト、T-3はベートーベンと同社では呼称しております。当社では、ウィーンアコーステック社のスピーカーを国内に紹介すると決めた10数年前、モデル名にクラッシック音楽の作曲家の名前をそのまま付けることに、著作権の問題などから躊躇し、便宜的にアルファベットと数字の組み合わせを選択してきました。しかし昨年来、同社との打合せで、今後開発する新製品から、本社で使用しているモデル名をそのまま日本国内でも採用することを決定いたしました。その最初のモデルが、本年1月に発売開始した、「Bach Grand =バッハ・グランド」だった次第です。

 さて、ウィーンアコーステック社では、同社の最高級シリーズを、クリムト・シリーズと名付けました。近代絵画に詳しい方はご存知ですが、グスタフ・クリムトは、19世紀後半から20世紀初頭に名前を馳せた、ウィーン出身の著名な画家です。帝政オーストリア国家での、保守的な画壇の傾向に立ち向かったクリムトは、当時の若手芸術家の代表として、従来の「ウィーン美術家組合」に対する独立グループ、「ウィーン分離派」の総帥として歴史に名前を残しています。その名を一躍有名にしたのが、1902年のベートーベン展に出品した「ベートーベン・フリーズ」でした。フリーズとは壁画のことで、3面からなるベートーベンの第9交響楽を表現した彼の作品は、今ではウィーンの観光の名所として有名な建物セツェッション(ゼセッション)に保持されています。

 ベートーベンの曲を20世紀初頭に絵画的に再表現し、それによって名をなしたクリムトを、オーストリア、ウィーンから世界に発信した、アール・ヌーヴォ、新しい芸術的表現の旗手として、ウィーンアコーステック社は、自社の一連の最高級モデルのシリーズ名に「クリムト」と名付けたわけです。また、クリムト・シリーズのそれぞれのモデル名は、画家グスタフ・クリムトの描いた絵画のタイトルを採用しています。

 今回、初めてお聴きいただいた「The Music」は、国内では「音楽1」として紹介される絵画のタイトルです。同社で、「The Music」の試作機を発表したのが2008年のラスベガスでのコンシューマーエレクトロニクスショー、実際の設計開始から実に2年に及ぶ苦闘の末やっと国内でも紹介できるようになりました。今後できるだけ多くの試聴会にお持ちする予定です。ウィーンアコーステック社が、創作的芸術性の新たな出発を期した、The Music。是非一人でも多くの方に聴いていただきたく思っております。当ホームページ冒頭の試聴会のご案内には、試聴機を掲載いたしますので、今後、The Music が掲載される際には、是非ご注目いただきたいと思います。従来からの、清潔感溢れる繊細さを何一つ崩すことなく、より広い音像空間をダイナミックに表現する The Music です。梅雨空を吹き飛ばすに足る、驚きの音楽空間をご体験いただければと存じます。





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