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第100回 2009/02/01
「節分の候です」

 この「Ken Ishiwataの独り言」も、2000年の元旦に最初の発信をいたしまして、丁度100回目となりました。この間、折に触れご覧頂きました皆様方には深く感謝申し上げます。発信を始めた頃には、私個人のCECとの関わりや、CECの成り立ちの経過などについて述べさせていただくことが多かったのですが、次第にその時々のテーマ、自分の中で引っかかっていることなどを、アトランダムに話題とさせていただきました。今後とも、主軸のないまま進めさせていただきますことご諒解いただきたくお願いいたします。

トビ

 さて、例年2月には、新年早々に開催されますラスベガスのCESへ参加した報告をさせていただくことが多かったように記憶しておりますが、残念ながら2009年のCESには参加いたしませんでした。やはり、米国経済の極端な不振からか、そこでの商談の可能性が本年はほとんど見込めないこと、またここ数年来のCES自体の傾向として主体が、大手巨大メーカーの力を最も傾注させている、IT産業との関連性をますます強めているヴィジュアル機器に絞られつつあることがその大きな理由です。オーディオ機器につきましては、既にメイン会場から独立したブースで紹介されるようになって久しいのですが、CECの北米での販売実力では、全米を対象とした大々的なイベントに参与するレベルには到底至っておりません。そうしたことから、本年度はほぼ恒例ともなっていたラスベガスへの訪問は取りやめることとした次第です。

 年が改まったと思っているうちに、既に節分の報道が目に付く2月に入りました。以前述べましたように、節分とは本来季節を分ける、各季節の始まりで、年四回(立春、立夏、立秋、立冬)、宮中で神事が行われたようです。次第に対象が立春に絞られ、大衆化し、今日でも行われる「豆まき」の行事は江戸時代にほぼ確立したようです。立春とはいえまだまだ2月中は冬の真最中です。春を待つ寒さの中、豆まきで邪気を追い払う行事は、邪気ならぬ風邪を追い払う願望とも相通ずるところがあるかもしれません。

 中国文化圏では、旧暦の正月が年間の最大の祝賀行事であり続けています。中国国内の企業は、旧暦の正月を挟んでほぼ2週間休業ですし、香港、台湾でも大体1週間を正月休暇に当てます。本年は、(新暦)1月26日(月)が正月でした。旧正月を挟む数日、香港に出かける用事がありました。香港は、行政的には香港島、九龍、新界の三地区から成り、その下に18の行政地区が置かれています。全体の面積は、観光で香港島やその向い側の九龍地区だけをご覧になられただけの方には、意外に広く感じられるかもしれませんが、東京23区のほぼ倍に当たります。

 今回の宿泊地は、今や香港での最大の人口をもつようになった、新界の沙田区でした。この地区はもともと工業地帯でしたが、生産のほとんどが中国に移転するなかで、生産工場は、流通倉庫や流通管理事務所へと転じ、観光客の来ることのなかった静かで比較的安価な土地を求めて新興住宅が建てられ続けた結果、全香港の18地区の中で最大の人口が集中することになったようです。したがって、スーパーマーケットやデパートも観光客ではなく、そこに住む住民を中心とした顧客への品揃えや店舗展開をしています。

 一番目に付いたのが、食品販売での日本語の商品説明です。1年ほど前、香港の食品業者が東京築地で最高値でマグロを競り落として話題になったことがありましたが(これは数日を待たず売り切れたそうです)、香港では寿司は流行のメニューになって久しいようです。ホテル近郊にも回転寿司のチェーン店がありこれは予測の範囲内でした。ただ、食品販売の場所に並ぶ加工食品のパッケージに、ほとんど日本語が日本国内そのままに使用されているのにはちょっとびっくりしました。また、日本語としては意味不明なひらがなの使い方をされたものもあり、経営が日本以外のメーカーが、意図的に日本語を使用していることをうかがわせるものでした。

 おそらく、中国製食品の安全性への危惧があり、とりわけ昨年何度か報道された中国製食品の不始末から危機感が煽られ、ひらがな交じりの日本語を使用した商品説明や、商品名が、ある意味で安全性へのキャンペーンとして重要なツールとなっているものと思われました。日本語=日本製(日本企業の管理)=安心感という図式が継続されることを祈るばかりです。

 昨今のマスメディアは、景気不振を表すさまざまな事象を、ことさらに取り上げ、不振の深さとその負の影響力の大きさを声を大にして扇動しているようにさえ感じられます。世界的な不況の深刻さに目をつぶることができないことはいうまでもありません。企業活動をしている私ども自身、日々その実感を深めています。しかしそこからの脱却にこそメディアの報道は力を注いでほしいものです。

 風邪やインフルエンザの拡大が報じられています。暖冬といわれても寒く、まだまだ冬は続き、寒さは続きます。日々の生活の中でちょっとした注意が「邪気」ならぬ季節のはやり病を防げることと思います。節分の候、注意を払いながら気力を蓄えて春を待ちましょう。

写真は、旧暦元旦、沙田地区のビル街を背景に雄飛するトビです。日本以上に、都市部でも多く見ることができます。







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