第111回 2010/01/03 |
「新年明けましておめでとうございます」 |
平成22年、2010年が明けました。干支で申しますと庚寅(かのえとら)となります。関東地方では、元旦から三日間ともに、強い北風もなく、穏やかで暖かいお正月となりました。皆様お住まいの地域ではいかがだったでしょうか。まずは新年明けましておめでとうございます。
昨2009年は、その前年に惹起したアメリカ発の世界経済不況からの脱出を目指した一年間でしたが、残念ながらその糸口が判然としないまま過ぎ去った感があります。昨年の最大の変化は、長年続いた自民党、公明党の連立政権が民主党主導の政権に取って代わられたことでした。これは、まさに経済的な閉塞感からの脱出を願う国民の切実な気持ちを表したものではなかったかと思われます。昨年暮れの12月25日に大幅な予算が閣議決定され、今月の通常国会で審議されるわけですが、その経済効果のほどはいよいよ本年試験されることとなります。政権公約(マニュフェスト)の実行性いかんよりも、真に望まれているのは経済の活性化であることはいうまでもありません。 読売新聞はその社説で「日本経済は、金融危機と世界不況の嵐をひとまず乗り切ったが、今度はデフレの冷たい霧に包まれてしまった」と概観し、今後の見通しは「安定成長の軌道に乗るか、それともデフレの圧力に屈して下り坂に迷い込むか。日本経済は帰路に立っている」と述べています。大幅な伸長ではなく、比較的小規模な伸びを基調に、マイルドなインフレを期待しているかに読み取れますが、グローバルに展開する世界経済は、果たしてそのような理想的な計画性を各国が意図的に作り出す環境を与えてくれるのでしょうか。 私どもCECは、長年欧米を主たるマーケットとして、OEM生産、販売を経営の根幹としてまいりました。昨年の冒頭に述べましたように、残念ながら経済環境の激変はその根幹を抜本的に変化させざるを得なくなり、自社製品の開発、販売を、それも主として国内市場を志向して経営方針を立て直す必要に迫られた一年間でした。大変な厳しさを問われ続けた一年間でしたが、ひとえに皆様方の暖かいご支援により新年を迎えることができました。ここに改めまして心から御礼申し上げます。 年末にオーディオ専門のディーラー様とお話させていただく機会がございましたが、一般的な不況感に加え、地上デジタル放送への転換の大宣伝によるTV機器への購買意識の集中から、オーディオ製品への関心がかなり薄れているとの危機意識を持っておられる様子でした。確かに残すところ後一年と半年ほどでアナログテレビ放送は終了します。今年一年間は恐らく古いアナログテレビの買い替え需要は継続するものと思われます。 私どもオーディオメーカーは、視覚に供するものを持ち合わせません。聴覚へのアプローチを専門としております。しかし、いかなるテレビであろうと、音の出ないものはありません。テレビのデジタル放送への一元化とその一層の普及は、ある意味で新しいホームシアターの時代の幕開けではないかと思われます。このことに注目しながら、新しいオーディオ機器の開発を模索していきたいと考えております。 最後に、冒頭で述べました本年の干支、庚(かのえ)とは、成長した状態が行き詰まりそれからの変化をきたす意味があるとか、また寅(とら)は新たに草木が生まれ出る動きの意味があるといわれています。だとしますと、新しい何かが従来の予測を超えた方向で動き始める年とも受け取ることができます。これまでの延長線上ではない新しい方向性を模索しつつ、動きのある年の性向にあやかって行きたいと望んでおります。本年もなにとぞよろしくご愛顧を賜りますよう、お願い申し上げます。
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