8月30日、「第45回衆議院議員総選挙」が行われ、即日開票の結果、前回のいわゆる「郵政選挙」で大勝した与党自民党は、事前のマスコミの予想以上に大敗を喫し、かなりばら色の「マニフェスト」を掲げた民主党が、単独過半数を上回る308議席を獲得したことは皆様よくご存知のとおりです。翌朝（8月31日）のTBSラジオで、政治評論家の田勢康弘氏（日経新聞客員コラムニスト、早稲田大学大学院教授）は、概評して「民主党の勝利ではあるが、自民党のオーウンゴールによるところが大きい」と論評していました。つまり政府与党のあまりにも多かった失政の数々が、自らへの批判票となったというものでした。

　もともと田勢氏は、この選挙を通して「マニフェストの先にあるもの、すなわちどのような国家、どのような社会を作るために何が必要なのかという目標なるものは、（両勢力ともに）依然、視界不良である」と公然と不満を述べていましたから（田勢康弘　愛しき日本、SHIKOKU NEWS）、民主党圧勝の結果に積極的な評価を与えなかったのでしょう。

　丁度4年前の2005年、「郵政選挙」で大勝した自民・公明党政権ですが、この間に首相が変わること3回、うち2回は自らの辞任によるものであり、3人目の首相は本来選挙による国政担当の委任を確認すべき「選挙管理内閣」と理解されていたはずでした。それがほぼ任期満了まで選挙を先延ばしし続けたのですから、その姿勢自体に選挙民の不信が増大したことが今回の結果の第一の要因であるように思われます。首相自らとその閣僚の度重なる失言、失態、そして為政者にとっては予測不能であった「未曾有」の世界経済危機などが、「オーウンゴール」を引き起こした要因ではあったでしょうが、いつまでたっても「試合そのものを開催しない」逃げの姿勢に、投票する側の苛立ちが蓄積されていった、それゆえにこれまでにない期日前投票数が増加し、結果として投票率が前回の67.51％を上回った（69.28％：小選挙区）のではないでしょうか。

　翻って見ますと、もともと「自民党をぶっ壊す」とキャンペーンを張り、「郵政選挙」で大勝を勝ち取ったこれまでの政権は、それを取り巻く国家経済の行き詰まりをどのように打開するのかがテーマであったはずです。昨年のリーマンショックに端を発する世界不況の勃発は、そのテーマを更に浮き彫りにしてきました。とりあえず今回の選挙の結果は、これまでの政権にこの課題の解決をゆだねないという判断を示しました。「官僚政治からの自立」を目指す、新政権の最大のテーマは、これまでの政権に引き続いて、そのまま残されているといえます。危機に瀕した国家経済の建て直しと、景気循環の活性化という課題について、新政権の「マニフェスト」には明確なプランを示しているとは読み取れません。これから、新政権は人事を模索し、今月中旬には発足するものと思われます。この短期間に、財政経済政策の明確な方針が提起されることを強く期待し、望むところでもあります。

　さてこの夏、東北地方ではついに「梅雨明け宣言」が出されないままでしたし、一旦「宣言」が出された関東地方では、その後、梅雨の状態が長く継続しました。本来強く張り出すはずの大陸からの高気圧が弱く、それと接する梅雨前線との関係があいまいな状態が続き、なんとも不安定な気象状況が続きました。梅雨前線により、予測が困難なピンポイント的な集中豪雨（「ゲリラ豪雨」）が各地で頻発しました。あらためて、このゲリラ豪雨による被害にあわれた皆様方には、心からお見舞いを申し上げます。

Image:HP-53FBパッケージ

　お詫びを含め、ご報告いたします。このコラムの4月1日号（第102回）で、バランス型ヘッドフォンの企画をお伝えいたしました。企画段階で、6月には発売できる見込みでした。残念ながら、当初予測できなかった課題に遭遇し、今月中にはやっと販売開始できる見込みとなりました。

　ご存知のように、バランス型ヘッドフォンは、左右が完全に独立しております。そのために、左右のドライバーのレベル合わせには、従来のアンバランス型の倍以上の調整検査過程が、内部配線の見直しと同時に必要となってきました。また、業務用に開発された従来機、比較的重量級のHP-53のカールケーブルは、全く新規に設計することになり、またこのケーブルの新規開発に伴いケーブル固定部の再設計を余儀なくされました。この詳細につきましては、発売までに当ホームページの製品紹介欄でご説明させていただきますが、こうした回路設計とケーブルの見直し、マウント部分の再設計によりまして、かなりの時間を取られ、更に当初予算を若干上回るものとなってしまいました。現在、鋭意単価の効率化を目指しておりますが、当初予定の3万円未満を若干上回ること、誠に恐れ入りますがご了承いただきたく、ここでお願い申し上げます。

　関東地方に台風接近（11号）の報道が流れております。　台風一過、関東地方ではかなり急速に秋の足音が近づいてきそうな気配です。　また、新型インフルエンザがこれまで以上に猛威を振るうかもしれないとの報道もなされています。朝晩の急激な冷え込みと、日中との温度差の拡大に十分お気遣いいただきお過ごし下さい。