第125回 2011/3/01 |
「弥生三月となりました」 |
三寒四温の言葉通り、関東地方では2月下旬になり冷たい雨の降る日が時折ありながらも、少しずつ暖かくなる気配を感じさせます。全国各地の梅の花だよりもちらほらと聞こえて来ます。今日から弥生3月の初まりです。今年の3月は、6日が啓蟄。大地の温まりとともに冬眠していた虫(啓)が、地上に穴を開(蟄)け出てくる日とされています。そのことから、新しいことを切り開いていく出発の頃とも解釈できそうです。さらに、21日が春分。毎朝の日の出が早くなり、帰路につく夕方の日が長くなっていくことが実感できる3月でもあります。 さて、1月にはチュニジアの革命騒動によりベンアリ政権が崩壊したことに触発され、エジプトで大衆的な反政府デモが広範に起こり、2月初旬、ついに30年の長きに及んだムバラク政権は、権力の座を明け渡すこととなりました。その後、中東の反政府運動のうねりはリビアに及びました。リビア・カダフィ政権に対する反対勢力の攻勢は、事実上リビア国内で二重政権を生み出す混沌とした状態となっています。この反政府運動を後押しするかのように、アメリカ政府は、対リビア制裁の発動を声明しました。報道によれば、イエメンそしてバーレーンと、中東諸国の政情不安は当分先行きの見通しがつかない状態となっているようです。 こうした報道を聞くにつけ、国内のマスメディアの報道姿勢には、いささか疑問を感じております。ここであげた中東諸国(チュニジア、エジプト、リビア、バーレーン、イエメン)は、いずれも軍事的な独裁政権や、王権による専制的な政治体制を長年継続して来た国々で、それが2008年リーマンショック以来の世界経済の停滞の中で劣悪な生活条件を国民に強いてきたと今となって報道されるのですが、こうした状況は少なくとも私が知る限り、この騒乱状況が発生するまで一度として国内で報道されることはなかったように思われます。 報道は、何らかの特異な事態が発生した事実を伝えるだけでなく、それ以前にそうした事態が発生せざるを得ない状況をつぶさに知らせる役割も持っているのではないかと思われるのです。地震や、火山の大噴火といった天変地異は、事前の予知が困難であり、時としては、憶測的な報道が不必要に人心の撹乱を誘導する危険性があります。しかし、政治的社会的な噴火を予知できないメディアは、あまりにも社会現象に鈍感であるか、場合によっては為政者の側に立っているのかと批判的に推測されることすら甘受せざるを得ないのではないでしょうか。 社会、政治的な状況を報道するには、どうしても政治的な判断を不可避とされます。それは報道する側にとってはリスクであるに違いありません。他方で、メディアが一切自らのリスクを回避した姿勢のみで起きた事実を報道するだけであれば、インターネット通信で事故、事件が直ちに全世界に通知される昨今、次第にその存在価値を自ら減じていくのではないでしょうか。 さて、当社はここ群馬県大泉町にサービス活動と営業活動の拠点を統合して4ヶ月目に入ろうとしています。なによりも、安定的な供給をなかなか確保できない海外委託生産を見直し、少しずつであれ自社の生産体制を国内で敷いていくことが目的でした。その最初の機種として選んだのが、CECの存在の基礎をなすベルトドライブ・CDトランスポートの最新モデル、TL3Nです。 CECのベルトドライブCDトランスポートは、センタースピンドル部分だけをベルト駆動する比較的に廉価なヴァージョンと、さらにレーザーピックアップもベルト駆動する(ダブルベルトドライブシステム)最高級のヴァージョンとがありました。今回、ご紹介するTL3Nは、最高級モデル、TL0X, TL1Nの流れをくむダブルベルトドライブシステムを踏襲しながら、極力価格の合理化を図ろうとしたものです。今月中に、オーディオ専門店様の店頭で皆様のご判断を仰げるように、最後の追い込みに入っております。どうかご期待ください。製品の詳細と発売開始時期につきましては、間もなくこのホームページにてご紹介させていただきます。 暖かくなっていくとはいえ、突然の降雪も予測される気象上変化の多い3月です。昨年の猛暑と冬の厳しさから、スギ花粉の飛散は、地域差があるものの昨年の数倍に及ぶと予測されています。どうか万全の準備で春の到来をお待ち下さい。
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