9月に入ってからの関東地方は、連日30度を越す真夏日が続きました。10日になり台風15号の襲来に伴い急速に10月下旬並みの気温へと急下降。気温の上でも、気象的にも、変化に富んだ1ヶ月でした。皆様体調の管理に大変だったこととご推察いたします。
この20日(土)、新星‘78というグループの主催する第70回目の定期演奏会に練馬公民館ホールに出かけました。クラシック音楽を中心とするこのグループの演奏・歌唱メンバーは全員が視覚障害者。当日は、ボーカリスト(ソプラノ)、ピアノ、ヴァイオリン、アルト・サクソフォン、フルート奏者、合計6名の共演でした。わずかに視覚を残すピアニストと演奏アシスタントにともなわれ演奏位置を確認することからスタート。今回は、映画音楽をメインテーマに演奏、それも入場料500円(それで「ワンコイン・コンサート」と名づけています)での開催でした。
通常のコンサートと異なり、演奏者の前には何の楽譜もありません。役に立たないからです。視覚障害を持った演奏者がどのように暗譜していくのか、また譜面のある部分だけを記憶を頼りにどうやって思い出しながら反復練習するのか、大変な努力の積み重ねと忍耐が必要なことでしょう。前半の司会をかねたピアニストの三好俊行氏が、「われわれ視覚障害者は、想像能力に優れているのです」と語るとき、聴覚と皮膚感覚時として臭覚でさえもが補い合い、優れて視覚を補い、視覚的な意味での3次元感覚の世界を創造していることがしのばれます。
新星‘78:http://www.shinsei78.com/
演奏では、昨2002年カンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受けた「戦場のピアニスト」で、ピアニスト・シュビルマン(エイドリアン・ブロディ)が弾いていた、シューマンのノクターンをここで聴けるとは予想外の喜びでした。カーテンコールでの「エーデルワイス」でソプラノ歌手の塩谷靖子さんが、4名の楽器演奏者の中で歌うせいか、マイクロフォンを持つのを初めて目にしました。ソプラノ歌手がマイクを持つと、4種類の楽器の音量に負けるどころかとてつもない声量になることに驚嘆することしきりです。
塩谷靖子:http://www2s.biglobe.ne.jp/~dokusyo/nobuko/
さてこうした小さいコンサートでいつも思うことですが、とにかく観客が少ない。マスメディアで名声を博した楽団や、ソリストが出演となりますと入場料がいくら高価であってもコンサート会場が満席になることはよく報道されるところです。しかし著名ではない、それもクラシック専門の小さいグループやその都度の集まりとなりますと、まずホールや会場の席が30%程度しか観客で埋まらないのが実情です。確かに主催者側の宣伝が、その財政的な理由もあり行き届かないこともあるでしょうが、一般の方々の関心度が異常に低いように思われます。
どのようなコンサートであれ、必ず心に残るもののなかったコンサートを私は知りません。あえて言えば、音楽を演奏される人々がそうであるように、聞く人々も訓練や経験を通してしか上達はありません。聴く楽しみの入門的な段階としてでさえ、沢山の音楽演奏を目前で聴く経験を通して、自分の好きな音楽表現のスタイルや分野を次第に判ってくるのではないでしょうか。地方公共団体の刊行誌などでも、ちょっと注意してみますと結構「演奏会へのお誘い」が掲載されています。一度足を運ばれることをお勧めします。世界に名だたる名演奏家、大声楽家の方々の本当のよさを理解するためにも、身近にある音楽機会をつかむことから始められたらいかがでしょうか。
今日から10月。私ども新生CECが発足したのが2000年10月1日でしたので、おかげさまで丸3年を経過したことになります。販売店、代理店そして何よりもCEC製品をご愛顧いただきましたユーザーの皆様方の温かいご支援と励ましの賜物です。心から御礼申し上げます。今月は、東京でハイエンドショーが開催されます。交通の便が許される方は、是非当社のブースにお立ち寄りください。4年目を迎えたCECを叱咤激励ください。