第35回 2003/9/02 |
わずか数日だけの猛暑、全般的には冷夏に終わった今年の夏でした。既に東北、北海道地方での農作物の収穫の不安が次第に現実のものとなってきているようです。そして今日から9月。自然の気ままさに翻弄されながらも、時は確実に流れていきます。学生の皆さん方は、また気分を新たに新学期に取り組まれるでしょうし、社会人の皆様は景気の悪さにますます毅然と立ち向かわざるをえない時期に入ってきました。 この原稿は、8月下旬からの出張、東莞、香港を経由して今は台湾・台北市にて取り組んでおります。今日から台湾の人々のパスポートは、従来のRCA (Republic of China=中華民国)に加えて、台湾と書き加えられます。これが台湾の独立を決して認めようとはしない北京の中国(中華人民共和国)政府をかなり刺激し、パキスタン、アフガニスタンの両国は中国政府の意向を汲んで台湾の人々にはVISA(査証)を発行しないことにしたようです。こうした政治的対立と平行して、台湾の民間資本は日々大きな奔流となって中国に流れ込んでいっていますし、台湾からの資本投資なしに、上海、広東省を中心とする中国沿海部の発展は考えられないほど密接な経済的な関係を既に作り出してしまっている現実は、なんとも皮肉に見えてなりません。 さて当社のベルトドライブ駆動のCDトランスポートとCDプレーヤーが、日本以外では、最も深く認められているのがここ台湾です。最高級モデル、TL-0をご愛顧いただいているユーザー様の数は、実は日本をさえ凌いでいるほどです。現在、最終生産段階に入っているTL-0MkIIと、流通在庫を別にしますと、CECのベルトドライブモデルは生産されておりません。ここ台湾でも、CECはもうベルトドライブCDを生産しないのかと危惧するユーザー様の声が少し大きくなってきております。 ご安心ください。まず、TL51及びTL51Zの後継機として、TL51XそしてTL51XZを準備中で、技術試作は無事完了し、今月中には量産試作の段階に入り、10月には皆様にご評価を仰げることと確信いたしております。また、TL2Xの後継機としてTL2XOを10月のハイエンドショーに提出できるよう設計陣は奮闘いたしております。また、8月には当社としては初めて、普及価格帯のアンプ、モデルAMP3300の量産試作を終え、オーディオ業界誌各社様に第1報を伝えさせていただきました。10月初めには発売開始に漕ぎ着けることができそうです。この製品は、CDプレーヤーとアンプ、そしてスピーカーというシンプルな3構成で、十分に本格的な音楽が楽しめることを基本のコンセプトとし、徹底的に音質を重視しようとした試みです。皆様方の厳しくも自愛に満ちたご批評をいただけることをこれから30日後に楽しみにしております。 当社の建物の脇に10坪ほどの空き地があり、雑草の茂みから時々秋の虫の声が聞こえてくるようになりました。雑草をざっとカウントしてみました。アキノエノコログサ、アメリカイヌホウズキ、ヤブガラシ、オオムカシヨモギ、メマツヨイグサ、オギ、メヒシバと7種類までは確認できました。強い日差しにもめげることなく力強く伸びている姿には感動さえ覚えることがあります。天候不順、景気の先行きの見通しのなさと不安一杯の今日この頃ではありますが、当社なりの努力を新製品の開発・発表という形で皆様にお届けしてまいる所存です。 |