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第04回 2001/1/20

21世紀を記念する年が明けて、ほぼ20日間が過ぎようとしております。遅ればせながら、皆様明けましておめでとうございます。どのようにお正月を過ごされたでしょうか。私と年代を同じくするか、もしくはそれ以上の方なら懐かしくお思いになるかもしれませんが、日本にも昭和30年代までは、地域差はあるものの「旧正月」を祝う慣わしが残っていたように記憶しております。

東南アジアの各国と商取引のある方であれば、未だにこの「旧正月」が「新正月」より大事なことがお分かりかと思います。今年の旧暦(太陰暦)の正月は、現在の新暦(太陽暦)では1月24日(水)で、東南アジアでは、私の知る限り、中国、韓国、台湾、香港が1月24日を含む週が、ほぼ1週間お休みとなります。

私どもの、広東州東莞市にある中国工場では、1月18日が全社を挙げての大忘年会(3000名以上の従業員が一堂に会します)、1月19日からなんと2月4日までの17日間が正月休となります。と、いいますのも、この正月休み以外に長期休暇は他に一度もありません。また、広東省まで、いわば出稼ぎに来ている従業員たちの中には、帰郷するのにバスや汽車を乗り継ぎ、片道1週間前後(10時間ではありません)もかかり、往復で2週間を要する方たちがかなりたくさんいるからです。

飛行機などを使っていたら出稼ぎの意味がなくなりますし、飛行場があるような大都会からは「越南」に近いと目されている広東省までは出てきません。中国は広いのです。その意味では、これを書いている1月19日におめでとうございますというのは、早すぎるのかもしれません。

ラスベガス・ウィンターCES2001

さて、オーディオ業界に関係する人たち、中でも海外業務とかかわりを持つスタッフの毎年初の出張は、ここ10年来ラスベガスです。ギャンブルで有名なアメリカ、ネバダ州、ラスベガスで、年に一度、北米最大のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)が開催されるからです。かなり以前は、シカゴで、その前は確かニューヨークでも開催されていましたが、あまりにも寒く、雪などで交通機関が不便となることもあり、ほぼ10年以上以前に、冬でも暖かい砂漠の中の人工都市、ラスベガスに移されました。

このCESは、毎年開催される定期的な催しとしては、全世界最大といっていいかもしれません。今年は、1月6日から9日まで開催されました。業務用情報機器、冷蔵庫、洗濯機等の所謂白物家電製品を除く、家庭用電気製品の、その年を占う商談がここで行われます。

従来、カーオディオを含む家庭用オーディオ製品がその主力でした。2000年の中心製品が、DVDプレーヤー及びその関連製品、したがってホームシアターを含めた映像空間創造機器であったのに対して、本年度のスポットライトは、デジタル送信、受信機器、記録機器及びその関連製品にあてられておりました。

もっとも身近なところですと、パソコンから音声を受信し記録するMP3プレーヤー(未だ多くの著作権問題を残しているようですが)の進化、携帯電話でのPC対応の様々な提案、デジタル衛星放送に対応するTVモニターの薄型化、ハイデフィニッション化といったところです。

ここでは、所謂ピュアーオーディオなどは、遥か昔の遺物といった感さえあり、「2チャンネル製品か」と言った声さえ聞こえてきます。私どもの北米のディストリビューターも2年前から、「もう2チャンネルは売れないよ」と言いつづけておりますが、現実には細々と販売が継続しているのですから、ピュアオーディオファンの存在は根強いものです。

ただ私どもとして、現状にそのまま座しているつもりはありません。音楽をより便利に、より楽しく、それが高音質へと繋がる向上となる限り、こうしたデジタル化への大きな流れに一番最後ではありますが、何とか付いていこうとは考えております。

ハードとソフトの業界人が一堂に会するチャンス

ラスベガスから帰国後、翌日の12日に、スイングジャーナル社主催の、第12回「ジャズ・コンポーネント・アワード」の授賞式(東京プリンスホテル)に出席しました。当社の昨年発表したプリアンプ付DAコンバーターDX71が、THE BEST CD PLAYER部門で受賞したことによるものです。

この授賞式のすばらしい点は、音響、映像機器といったハードウエアー部門だけでなく、第34回を重ねる「ジャズ・ディスク大賞」といったソフトウェアー部門、そして演奏者を含めた音楽家部門の第26回「南里文雄賞」が同時に表彰されることにより、音楽製作の入り口から出口までの関係者が一堂に会し、交流をもてることにあります。

なんと言っても1940年代以降の音楽の振興は、作詞、作曲家と、声楽家を含む演奏者がそれを表現することを前提とし、その音楽を再生音楽として楽しめる録音機器と大量販売に耐えうるソフトが存在し、そして最後に再生機器があってなされたものですから。

当社の製品が受賞したこと以上に、こうしたすばらしい機会を長年にわたって維持、確保されつづけているスイングジャーナル社に深く感謝すると同時に、大いなる敬意を払います。