第02回 2003/05/06 |
from 山崎 孝之(開発部) |
4月に入って此処、広東省東莞市長安の町も大分蒸し暑さを感じる日が多くなってきました。湿度が高く、日本の梅雨のころを思い出します。勢い、クーラーの電源を入れ、冷房を効かせる機会も増え、体の変調を感じることも多くなります。 さて、現在の開発状況ですが、ベルトドライブモデルの後継機は、基本サーボの部分は殆ど完成し(通常のサーボと殆ど替わりませんので…)ベルトドライブ特有のターンテーブルの慣性モーメントの大きいことに起因する問題対策にかかわってきております。まだ、手作りの一台での評価ですので、今後、金型を使用しての試作による評価へと移ってゆきます。 閑話休題。特に3月の中旬以降、香港を中心にSARSが話題となっていますが、この件で中国と香港での情報の扱い方など、気の付いたことを幾つかお話しましょう。発祥の地は、中国広東省広州と言われておりますが、中国での報道は4月になるまで殆ど在りませんでした。昨年末頃に非典型肺炎の名前で報道され、その予防には酢を室内で蒸発させると好いと言う噂が流れ、2月の旧正月前後には街から酢が消え、高値で取引されると言う事態になりました。この噂は直ぐに否定の報道がなされましたが、情報が無いためにうわさ話が容易に広まることになります。 その後、特段の情報がその後無いままに旧正月休みになりました。3月に入ってから香港での流行が始まり、院内感染から大勢の医療関係者が被害に会いました。現在では咳や痰などでの飛沫感染か接触感染によるとわかってきました。しかし、この間の、中国と香港の報道のされ方は異なったものがあります。4月7日の中国でのテレビ報道では広州の病院で感染した医師が既に全快し、仕事に復帰している様子が報じられ、広州の街角でのインタビューもマスクをしている人はまったく見られず、答える人も「人口800万人のうち感染したのはわずかで、そんなに危険ではないでしょう。」などと話しています。 一方、同じ日の香港のテレビ報道では街は相変わらずマスクをした人であふれ、予防キャンペーンも「握手は止めましょう。手を頻繁に石鹸で洗いましょう。」という状況です。感染者が何人になったと言う報道も続いています。その後、北京での感染情報が政府の発表と実際とは異なっていることがWHOや内部告発で問題となり、大きく訂正されたことはご存知のとおりです。 このように、中国国内では市民に情報が伝えられる場合にはフィルターが存在しています。最近ではインターネットなどで一部の市民には多くの外来情報が伝わりますが、そのことが却って噂話を広める要因にもなっていると思います。 それでは、一般市民の対応はどうでしょうか?香港ではマスクをする人が非常に多いです。これにはテレビのキャンペーンで「マスクをしましょう。手を洗いましょう。握手は止めましょう。身の回りを清潔にしましょう。」と繰り返し、呼びかけられていることによると思います。 一方、中国では、香港に近い深センでは幾らか多いですが、マスクをしている人は少ないです。まだまだ、この病気を身近に感じている人が少ないと言うことでしょう。テレビでの報道も、北京と香港のニュースが主なため、発祥地の広東省でも一般には深刻に考えられていないのだと思います。 広東省には多くの工場がありますが、その中で働く工員は殆ど寮生活をしており、その行動範囲はとても狭いので、流行しにくいのではないでしょうか?しかし、ひとたび工員が感染すれば、その工場内で働く何千人もが感染する危険性があります。そのため、経営者は工員の外部との関係を遮断し、危険性を少なくするよう画策します。外出自粛令や外部からの来客にはマスクを着用させるなど。早く、有効な対策方法が確立され、心配なく自由に町を歩けるようになって欲しいと思います。 |