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第31回 2003/5/01

この4月には、アメリカ軍のイラク攻撃の開始、フセイン政権の崩壊、新政権をめぐる協議の模索へと、まるでこの季節の中近東の砂あらしの中に、一連の流血の悲劇が急速に惹起し、そしてぼんやりと収束している様子が伺えます。我が日本国政府のこの戦争(むしろ一方的な攻撃)に対する明確な声明は、最後まで聞くことができませんでした。

同じアジアの東のはずれでは、これからさらに拡大しそうなSARSが連日新聞紙上で恐怖のシンボルとなっています。SARS被害者と既死者数が最も多い(確認されている全体の90%以上)中国及び香港では、既に日常の生活に「異常事態が」発生しています。この件で最も憤りを覚えざるを得ないのが、行政当局の情報の意図的な隠ぺい工作による対策の遅れ、それによる急速な拡大という、悪循環が見られたことです。

既に昨年11月には、顕在化していたとも言われ、少なくとも「旧正月」前には覆いようもないほどになった事態に対する中国・香港当局の公式発表は、なんと3月に入ってからです。よく言われる「情報の開示」の重要性がまずもって指摘されるべきでしょう。

人を宇宙に運び(時として召還に失敗はしますが)、使用方法によっては特定個人の日常生活さえ監視できるほどのIT技術を誇るにいたった21世紀の科学技術も、いかなる意味でも知的ではない単純微生物(ウイルス)の前に、たじろぎ、身をすくませざるを得ない現実は、ヒトが生態環境の中で傲慢では存在できない事実をさらけ出しているようにも思えます。

さて、わが日本ではゴールデンウイークです。例年通り今年もまた、行楽地での混雑が予想されています。海外旅行客がSARSの脅威で極端に減少している今年は一層のことでしょう。こうした混雑を避け、自宅でゆっくり音楽について考え、聞いてみませんか。

私たちは、戦後教育の中で、「リズム、メロディーそしてハーモニー」が音楽の3大要素として教わってきました。近世以前には、メロディーのない音楽、ハーモニーのない音楽も事実存在しますので、この「教え」は近代音楽の3要素とも言い換えるべきでしょう。しかし、たとえば、英語の辞書「WEBSTER」では、それに「ダイナミックス」を加えています。原文のまま引用しましょう。

Music:an art of sound in time that expresses ideas and emotions in significant forms through the elements of rhythm, melody, harmony, and dynamics.
(その時折の考えや感情を、リズム、メロディー、ハーモニーそしてダイナミックスという要素を通して、明確な形式で表現する音の芸術)

この最後の「Dynamics」、これはかなり重要な役割を持つものと考えます。自己流に解釈しますと、躍動感とでもいいましょうか。実は、近代音楽の持つ躍動感なくして、最終的に感動を人に与えることは難しいのではないでしょうか。この躍動感こそが、音楽を、人の心の開放へ向けた鍵ともなりうるように思えます。

あまり広く知られていないようですが、わが国には、日本音楽療法学会が存在し、世界音楽療法会議も、4年ごとに持ち回りで世界の各地で開催されています。最近の会議は、昨年2002年7月23日にイギリス・オックスフォード大学で開催され、全世界から40カ国、700名ほどの出席者があったようです。音楽を通して、心や精神の病に一筋の光明を見出そうとする活動です。また、外科、内科的疾病に対する介護への音楽の与える補助的な役割、老人性痴呆症患者への効果も近年評価されるにいたっているようです。例えば、暗闇の中にまったく心を閉ざした自閉症患者に、次第に心の扉を開かせるプロセスを推測してみます。

最初に、ちょっと振り向かせる契機は、音楽のハーモニーかもしれません。それを継続して聞かせる魅力はリズムでありメロディーでしょう。そしてもしその音楽に没頭してもらえるとすれば、最後のキーは、ダイナミズムでなかろうかと思えるのです。

実は、この埼玉県にも、音楽療法教育機関が、私が知るだけでも2つもあります(所沢市、川越市)。近年、「資格取得」が何かと取りざたされるようですが、音楽のお好きな方の資格取得ターゲットとして、音楽療法士を目指してみることはいかがでしょうか。音楽のあり方、21世紀になった今、考え直すべきことはまだまだありそうです。

音楽療法についてのURLをご紹介します。また、音楽療法の学校は、ここでは埼玉県だけを取り上げましたが、全国にあるものと思われます。

日本音楽療法学会 http://www.jmta.jp/
江原音楽療法専門学校(所沢市)http://www.ebara.ac.jp/
東京国際音楽療法専門学校(川越市)http://www.ongaku-ryohou.co.jp/