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第24回 2002/10/01

朝晩、すっかり涼しくなった空気の中に、金木犀の甘い香りが漂う季節になりました。郊外を散策しますと、その名のとおり、お彼岸を待つかのように、真っ赤な花を戴いた彼岸花(曼珠沙華)の花茎が一斉に立ち並んでいます。これを「赤いたいまつの行列」とも称するようですが。

「ペチカ」、「からたちの花」、「待ちぼうけ」といった日本を代表する曲を作詞、作曲した著名な組合せ、北原白秋(作詞)と山田耕筰(作曲)の作品に、この花を題名とした、「曼珠沙華」があります。福岡県柳川市を故郷とする北原白秋が、柳川地方の方言を取り入れて作詞し、山田耕筰が、西洋的音階の中に、日本の伝統的歌曲表現を実に巧みに取り入れ、この花の持つ謎めいた妖艶さと、短命なはかなさ、悲しさを見事に表現した作品です。(埼玉県日高市の巾着田は、百万本ともいわれる曼珠沙華の大群生で有名で、全国一の真っ赤なじゅうたんを誇っています。)
この歌の詩は、こちらをご覧下さい。
http://www.asahi-net.or.jp/~PV4R-HSM/poisonHI.html

この「曼珠沙華」の曲を教えてくれたのが、塩谷靖子(しおのや・のぶこ)さんの初アルバムCD、『わかれ道』(有限会社トウキョウ音楽企画:電話03-3948-6696 E-mai:[email protected])でした。専門の音楽学校出身者でほとんどを占められるクラシック界にあって、東京女子大学文理学部数理学科卒業という稀有なキャリアをもち、40歳を過ぎてから本格的に声楽に取り組み始めるという晩成のソプラノ歌手。視覚障害のハンディを背負いながら、想像もつかない努力で声楽に取り組んできたであろう塩谷さんの特色は、ソプラノの音域の中で、あたかもメゾソプラノのような力強い声質を表現できること。

「曼珠沙華」で塩谷靖子さんは、この詩に詠われる子供を失った女性の深い悲しみを、 か細い流麗な声で共感を生む方法ではなく、もう取り返しのつかない過去を、心の底からの静謐な怒りともいうべき感情で表現しているかのように聴こえます。彼女のホームページがあります。 http://www2s.biglobe.ne.jp/~dokusyo/nobuko/

私ども、再生音楽のハードウエアメーカーにとっては、なんといってもその原点は良い音楽ソフトがより多くの人によって愛され、親しまれ、聴かれるることです。あまり多くの人に知られる機会の少ない音楽ソフトを、今後もご紹介できれば幸せです。

さてここでお詫びが一つあります。先月のこのホームページで、CDプレーヤー、CD3300の9月中の発売をご報告いたしましたが、10日間ほど予定が延びております。誠に申し訳ございませんが、10月10日を改めての発売日とさせていただきます。ご存知のように、CECの製品は殆どがゴールドのアルミパネルを使用しております。それほどお気づきになられないかもしれませんが、各社ゴールドの色合いが異なっております。私どものゴールドは、いわばCECゴールドといってよいかもしれません。このたびこのゴールド処理を依頼するパネルメーカーを諸般の事情で変更いたしましたが、このCECゴールドを出すアルマイト処理がうまくいかなかったためです。誠に申し訳ありません。ただ、聞いていただく方のご期待を決して裏切るものではないことをお約束申し上げます。