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第13回 2001/10/31

水のツル、瓢湖のハクチョウを代表とする冬鳥の渡りが新聞紙上にも掲載される今日この頃です。皆さん方出の周囲にも、気付かないうちにカシラダカ、ジョウビタキ、シメなどのシベリア帰りの日本では「冬鳥」といわれる野鳥が姿を潜ませているかもしれません。彼岸花の艶やかな朱色が影をひそめてから一月、季節の移ろいの早さにうろたえているのは私だけでしょうか。

当社のホームページもスタートして1年を経て、2年目を迎えようとしています。ここで気も新たに全面改訂し、11月1日より、2年目のCECの心意気を示そうとしてみました。皆様方の忌憚のないご意見、ご感想をお聞かせいただければ幸いです。

香港エレクトロニクスショーの持つ意義

10月15日から18日までの期間開催された、香港エレクトロニクスショー(香港島、Wan Chaiのコマーシャルセンタービル)に一日、参加しました。既に、多くの弱電製品の殆どが中国にて生産されるようになって久しく、世界中のバイヤーの注目を集めているショーでもあります。ただ本年は、ニューヨーク貿易センタービルと、ペンタゴン本部の航空機によるテロ破壊といった、いわゆる9.11同時テロ攻撃の影響で、名だたった米国、英国、ドイツのメーカーがアジア地区への社員の出張を禁止したため、ショー開催以前に参加キャンセルが相次ぎ、ショーの主催者ならびに出展各メーカーは、ショーの入場者の、予想される激減に頭を痛めておりました。

初日、いざ蓋を開けてみますと、少なくともこれまでの入場者数を下回っているとはとても思えない盛況ぶりで、出展者たちも愁眉を開いているように見受けられました。欧米のバイヤーは既に、香港に買い付けの機関、組織もしくは会社を設立しており、こうした代行者たちが多く来場したためでもあったからかもしれません。

この香港の展示会に現れている製品は、99%以上の確率で中国大陸のどこかで生産された、若しくはこれから生産されようとしている製品ばかりであることは、衆目の一致するところです。

日本の弱電製品の生産拠点は、当初は1970年代後半からから1980年代にかけて、まず台湾、品物によっては韓国、シンガポール、タイへと徐々にシフトされていきました。しかし、日本の賃金上昇カーブとほぼ平行して追随していったこうした地域での生産は、激化する価格競争の中で、1990年代に至って最終的に中国を生産専門地として選択していったのです。

これは日本の電気製品だけの傾向ではなく、一般家電分野においては日本製品と 十分競合するに至った韓国メーカー、また、世界一の生産を誇るに至った台湾コンピューター業界も同様でした。1990年代半ばから2000年にかけて顕著となった、韓国、そして台湾メーカーの中国への生産シフトの集中と、生産体制整備の完成に伴い、中国の生産拠点としての東南アジア、ひいては世界の生産マップ上の重要度は、ゆるぎないものとして確立されたかに見えます。そのような意味で、香港エレクトロニクスショーは注目を集めているのです。

中国的(もしくは香港的)独創性が、製品に現れないうちに(少なくとも2001年のショーではそうでしたが)、より独創的な個性ある製品の開発を目指さない限り、いつしか生産立国が工業立国の地位を脅かすのは、戦後の日本と米国の関係を見れば明らかです。オーディオ製品が、工業製品である以上、CECもこの歴史的課題にいつも悩まざるを得ないのです。皆様方のCECへの問題提起と励ましが、私どもにこうした力を与えてくれます。2年目を迎えた新生CECを、そのような意味で暖かくご支援いただきますよう宜しくお願い申し上げます。