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第02回 2000/11/20

  CECについて

ここで当社の商標である、CECについて説明させていただきます。この商標は、東京品川で会社設立となった1954年以来の46年間の歴史を持ちますが、実は正式に商標登録されておりません。より正確にいいますと商標登録できないのです。

当社の設立時の日本語名称は、中央電機株式会社、即ち「CENTRAL ELECTRIC COMPANY」でありまして、その頭文字がCECというわけです。世に事業を起こそうとする人々は、誰もが中心となりたいわけで、中央何がし、もしくは何々中央という会社は日本に何百あるかわかりません。

また、電気産業も多岐に渡るわけでありまして、電気、電機、電器のすべてが「ELECTRONICS」もしくは「ELECTRONIC」と英訳できるわけです。また、電子の英訳もこれに準じるのですから、「Central Electronic(またはElectronics)Company」と英訳できる会社は、私が知る限りで80数社に上ります。

これまでの30年間の会社生活の中で、何度「お宅は不渡りを出して倒産したそうですね」という電話を受け取ったことでしょう。そういう次第ですから、特許庁は、だれにもCECを商標として認可しないのです。ただし、当社が30年間オーディオ製品を生業としてきたことは周知の事実ですから、「商標法により誰からも訴追を受けることは無く、またオーディオ業界に別のCECが現れた場合にはそれに異議申し立てできる」というのが特許庁の当社に対する正式なコメントであります。

  「いい音楽」へのこだわり

さて、当社はオーディオメーカーであり、片足をハイエンドオーディオに突っ込んでおりますので、ここで私なりに「いい音楽」へのこだわりについて述べてみます。

私は、第1回目のコラムに書きましたように、入社後、営業課でメーカー担当を任されたわけですが、一貫して「価格が高い、安い」「納期が間に合う、間に合わない」「企画性能にマッチする、しない」の連続で、再生音楽自体の良し悪しについてポリシーを持ちようもありませんでした。

ところが、CDプレーヤー全盛期となった1980年代も末に、きちんとしたレコードプレーヤーを企画し、販売しようとしたところから苦難が始まりました。ついこの9月末までのロングランセールとなったモデルST930がそれです。

CDプレーヤーの興隆期にレコードプレーヤーを販売しようとするのですから、これを取り扱ってもらうディーラーさんも「一家言」ない方はいません。当社のサスペンション方式に対して、シャーシー固定方式がよいとおっしゃる評論家、ディーラーさんも多くいらっしゃいました。この問題解決となった一枚のレコード盤がありました。

要は、再生された音楽表現がどうなのかが決め手だと確信できるものでした。そのディスクは、フランスの hamonia mundi よりだされた、『MUSIQUE DE LA GRECE ANTIQUE』です。