第065回 2007/12/15 |
トスカニーニ渾身のベートーヴェン 「交響曲第7番」 |
ルードウィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 米 RCA キャムデン CAL-352
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今年(2007)は、イタリア出身の世界的大指揮者アルトゥーロ・トスカニーニの没後半世紀、50周年ということである。ちなみに、彼は1867年3月生れなので、生誕140周年でもあった。 トスカニーニの魅力は、表現上は直線的で凝縮された激しさと時には情緒纏綿たるカンタービレの優美さを兼ね備えながら、しかも一糸乱れぬ正確かつスピーディなテンポとゴシック建築のような精緻な構築性を決して崩さないことであろうか。 ここで、もう少し詳しくトスカニーニの生涯を辿ってみることにしたい。
(「トスカニーニの時代」ハーヴェイ・サックス著 高久暁訳 音楽之友社 所収の年譜より引用) トスカニーニが生きた時代とは、一体どんな時代だったのだろうか。 今回は、そうした中で彼自身ヴェルディ、ワーグナーとともに最も敬愛して止まなかった作曲家ベートーヴェンの作品から「交響曲第7番」を取り上げたい。しかも、トスカニーニ協会盤などのプライベート盤を含めると、5種類ほどになるこの曲の中でも名演の誉れ高い1936年のニューヨーク・フィルと共演した録音である。ちなみに、彼の「ベートーヴェン好き」は大変有名で、洋上で偶々顔を合わせた作曲家ストラヴィンスキーが、ベートーヴェンを ”はったり屋”と一蹴したことが気に入らず、以降この高名な作曲家とは一切口をきかなかったという逸話が残されている。 ジャケットは、レイ・L・ジャクスン撮影によるトスカニーニの肖像写真。闘志を内に秘めたいかにも精悍な風貌である。この第7交響曲を録音したころ(彼が70歳前後)のものであろうか。
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