第05回 2004/11/20 |
from 山崎 孝之(開発部) |
今回は中国の休日について少し話してみたいと思います。中国の休日は基本的には政府が決定した休日が採用され、公共施設、役所、学校などはこれに従っています。しかし、一般の会社ではそれに従わず、年間の労働日数がとても多いのが実情です。日本では労働日数を減らし、休日を増やす事が行われてきました。しかし、中国ではこの労働時間の増大は概して労働者からも歓迎されています。理由は簡単で給与所得の増大に繋がるからです。残業と休日出勤の手当てが給与所得に対して大変大きなウェイトを占めているのが実情だからです。中国で大型連休と呼べる物は一年に3回あります。それは、春節、労働節、国慶節と呼ばれるものです。 先ず、春節、これは旧暦の正月に当たるもので、一般には一番重要な休日といえるでしょう。多くの企業では前後一週間、合わせて二週間を休みとします。従業員の多くはこの休みを利用し、ふるさとへ帰り家族と水入らずの正月を過ごすのです。旧暦で数える為、毎年一定しておらず、2005年は2月9日に当たり6日から20日までを休む企業が多いです。この季節には交通機関が大変込み合い、日本でもその情景は度々報道されているのでご存知の方も多いでしょう。長距離バスや、鉄道の乗車券は入手する事も難しいくらいです。 次に労働節、これは日本では労働者の祭典と呼ばれるメーデーですが、労働者の国を自負する中国では重要な祝日で、5月1日から後の一週間が休みになります。日本でも前後の国民の祝日をつなげて連休になりますが、中国では一週間を休むところが学校や政府系企業などを中心として、次第に広がってきているようです。 もう一つが国慶節、10月1日は中国の建国記念日で国を挙げて祝います。もちろん学校・政府系企業は休みです。やはり一週間を休むところが多いです。連休にはなりませんが、多くの企業が休みにするのは中秋節です。旧暦の8月15日満月に当たる日ですが、日本のお盆に相当する物で、ふるさとでは先祖の霊をまつります。出稼ぎに都会へ出ている若者たちもこの日はふるさとに電話をかけてお互いの無事を祝い、懐かしむようです。 しかし、最初の春節を除けば多くの製造業にとって生産が集中する季節になるわけでなかなか休むわけには行きません。また、労働者の方も、先に述べたように休日出勤手当てが出ますので出勤を歓迎しているようです。そのようなわけで唯一といっていいのが旧正月の連休です。このときは中国内の列車・バスなどの移動手段は大変な混みようです。チケットも割引が無くなり高額になります。 最近は飛行機で帰郷するリッチな労働者も増えてきて、このチケットも入手しにくくなっているようです。この季節にはふるさとに帰って友人と会う機会も多いことから、友人同士の情報交換も多く、どこそこの会社は給料が好いなどの情報が有ると、休み明けには転職などと言う現象もよく発生します。従業員を集めるのに苦労している会社では、帰郷期間中に友人を誘って入社させれば紹介した従業員に一時金を支払うなどの手立てで人材を確保しようとするところもあります。 私の住んでいる長安の街は中国の中でも屈指の発展を続けている地方にありますので、たくさんの工場が建設されています。これらの多くの工場は其の敷地内に社員寮を建て、地方から出てきた若い工員さんを住まわせています。数百人単位から数千人単位で工場内に住んでいるわけです。休みの日には(休日出勤などの無い国慶節など特別な日)其の工員達がいっせいに街へ繰り出してきますので、街の中は人出で溢れかえるようになります。それこそ、どこにこれだけの人がいたのだろうと不思議に思えるものです。 |