本年最後の「独り言」となりました。やっと冬らしくなった昨今、皆様どのように師走をお迎えになろうとしているのでしょうか。さて今回は、CDレコーダーについてCECの現況についてご説明いたします。

当社では、三洋メディアテック（株）の時代、1999年より、再生専用部と録音・再生兼用部の2つのメカニズムを持つ、デュアルCDレコーダーをメーカー様向けに開発し、生産、販売いたしてまいりました。北米を中心とする海外市場が国内をはるかにしのいで、主な販売先でした。この製品の録音・再生兼用のメカニズムは、同社の親会社でありました三洋電機製より購入、全体のプログラムの開発、組み立て、そして調整が主たる作業でした。しかし残念ながら、三洋電機（株）の営業方針の転換によりこの録音・再生ドライブの生産が2002年をもって中止されることとなり、その時点で、かなりの注文を抱え、受注の見込みも上昇カーブを描いておりましたので大変あわてた記憶があります。

最終的には、当社でこのドライブ部分の生産、検査設備及び管理ノウハウを全て引受けることで決着を見たのが、2003年1月のことです。今現在は、このレコーダーの記録・再生兼用のドライブユニット（通常記録ユニットと呼びます）自体の生産・販売と、それを使用したCDレコーダー完成品生産・販売の双方を行っております。残念なことに、完成品の特にアメリカメーカ市場を目指したメーカー様の注文は右下がりのカーブを描いております。恐らく、パソコン機器の普及により、かつてほどには需要が伸びないとの判断があってのことかと思われます。しかし、次の理由から私共としては、CDレコーダーの需要の停滞は一定レベルでとどまるのではないかと思っております。

まず、今現在パソコンを使用していないユーザー様は、将来的にも使用しないであろうと予測されること。パソコンの需要は今後も伸びるでしょうが、新規購入よりも、新しいOSの開発、機能の向上による買換え需要の方が上回るものと思われます。従って、CDレコーダーに代えて、パソコンでCD−Rを焼くことに代えるといった需要の落ち込みはそれほど大規模なものではないと思っております。ただ、iPod、MP3といった、まったく従来なかった方式の録音機器がこれからも開発、販売されるでしょうから、その点では決して楽観できない要素はまだ多くあります。

そして第2点目は、音質を重視されるユーザー様は、パソコンでの録音より、CDレコーダーの録音を選択するのではないかという自信があります。現在のパソコンに内蔵されたCD−RもしくはDVD−R録音機器は、パソコン専用の外部接続機を含め、既に40倍速以上の領域に達しており、高速化の勢いはとどまることを知らないほどです。しかし実際に経験された方であればお判かりのように、パソコンでの高速録音を終えたばかりのCD−Rは、ひどい時には手でもてないほどの高温であり、かなりひずんで見えます。時間の経過とともに、温度は下がり、平面上に放置すればひずみも直ってきます。しかし記録された情報の精度は、決して向上することはありません。実際に聞き比べますと、CDレコーダーで記録されたディスクの音質がパソコンでの録音レベルよりも優れていることが容易に判ります。

3番目のポイントは、アナログレコードに代わり、CDがまったく再生音楽上の主流となっている現状があります。顕著な動向は、アメリカで見られることですが、アナログレコードをCDレコーダーを介してCDに落としたいという市場の要請が次第に強くなってきております。ご存知のように、これまで発売されたレコードの全てがCDとして大手レコードメーカーから発売されているわけではありません。恐らくCD化されていない音楽ソースの方が多いのではないでしょうか。自分しかもっていない、レコードに記録された音楽ソースをCD化し、より手軽に音楽を楽しみたいと考えている方は決して少なくはないのです。レコードからパソコンに音楽を取り込むことは不可能ではありませんが、容易な作業ではできません。しかし、レコードプレーヤー用のフォノプリアンプとCDレコーダーがあれば、簡単にブラックディスクは、CDに転嫁することができるのです。

そしてこれまでの経験からしますと、自分でレコードからCDに録音した音楽は、市販されている音楽CDに音質的に勝ることはあっても劣ることはありません。以上の点から見て、CECは、今後ともCDレコーダーの開発には力点を置こうと考えております。現在、CECはただ1モデルしか（RW−2300）CDレコーダーを発売しておりませんが、それもここ2、3ヶ月、生産が間に合わず皆様には大変ご迷惑をおかけしておりますが、将来的には複数のモデルを開発していくつもりでおります。2005年度のCECにご注目下さい。せわしない思いをされる方々の多い師走です。楽しく新年を迎えられるよう、何卒健康にお気をつけ下さい。