気象庁の当初の予測を覆し、まったく寒い日が続いています。昨年暮れよりのインフルエンザの猛威は、衰えることなく広がっているようです。まだ春の到来はずっと先のことのようです。どうか皆様、お身体に充分気をつけ、快適な環境、健康な状態で音楽を聴けるようご留意ください。
2003年の年明け早々、昨年は初めて参加しませんでした、恒例の冬季コンシューマーエレクトロニクスショー(CES)に出かけてまいりました(米国、ネバダ州ラスベガス)。香港で秋に開催されるショーにおいても同じ感想を持ったのですが、次第に主催者側の参加者に対する情報管理がかなり正確なものとなってきているように思われます。
今回主催者の事後の発表によりますと、展示した会社数2,283社、また来訪者は、世界128カ国から、11万6,687名とされています。参加者全員に事前にエントランスバッジが準備され、また思い立っての訪問者は、全員、入場前に登録が義務付けられるわけですからこの数字はかなり信用の置けるものでしょう。まさに世界最大の電気製品の展示会であるわけです。
私達が参加し始めた1970年代後半から80年代にかけては、東洋人のほとんどが日本人であったように思われました。それが80年代後半から90年代にかけて、韓国、台湾、香港の人々が増え始め、更に90年代後半より中国の人々までもが出展、参加するようになってきました。今日では、東洋人と見える姿かたちをした人々が、いったいどこからきているのかは、言葉使いを聞かなければ判らないほどになってきています。
さて今回、私どもに関連したことで特筆すべきことは、当社で輸入、販売をしております、オーストリア、「ウイーン・アコーステック」の一連の新製品、「アルミ・シリーズ」が、2003・CESデザイン・アワード(デザイン賞)を獲得できたことです。10年前に当社の最初のベルトドライブCDトランスポート、TL-1も、CESアワード(一般的に技術賞と理解していますが)を獲得できたことがありましたが、欧州の製品が、米国でデザイン賞を得ることはそう簡単なことではなく、同社のマネージャー、スタッフ一同大変な喜びようでした。できればこの夏前からの発売を予定しています。ご興味のある方は、こちらからご覧ください。(少々重たいページです)
http://www.vienna-acoustics.com/
クラシックで上品な、ローズウッド仕立ての木目キャビネットから、一転、大胆に変身。かなり近代的な装いと、流麗なカーブラインを薄型アルミ製の筐体に表現する、「アルミ・シリーズ」にご期待ください。
さて、CESの後、台湾、台北に出かけました。旧正月(2月1日)を前にしたこの時期、最も大きな出来事は、台湾(台北)と中国大陸間(上海)の相互直接飛行便の開始でした。これは、旧正月という、双方の中国に人にとって、一年のうち最も重要な祝日期間に限られた、限定的なものではありましたが、1949年毛沢東率いる中国共産党指導下での新政権の樹立に際し、権力闘争に敗北した蒋介石・国民党が台湾へ「逃亡」して以来、実に半世紀を経た、両岸の直接飛行という出来事だったのです。しかし、この事実はあまり大々的に報道されることはなく(中華週報では事実の記事さえ掲載されておりません)、台湾の人々もそれほど画期的な出来事としてはとらえていないように見受けられました。
台湾政府側としては、非常にデリケートな問題をことさらに煽り立て、新たな政治的な紛糾が起こることを避けたいという思惑と、この相互直接乗り入れ便が、恒常化することに対する懸念が未だに払拭されていないために、事実を最小限度の報道に留めたかったのでしょう。他方、台湾の人々の立場から見た場合どうでしょうか。
中国沿岸工業地区、とりわけ上海地区に対する、台湾の民間資本の投資金額は、米国、欧州、日本を凌いで、最大規模の金額に上っております。また、上海における台湾実業家の人口は一説に数十万人に達するといわれております。つまり、民間の実務レベルでいえば、中国と台湾の行政上の壁は、実際上、既に取り壊されており、いまさら直行便の暫定的な開設に喝采するほどのことはなかったものと思われます。また、飛行ルートが、上海・台北間の最短距離ではなく、香港上空を経由しての、事実上既に運行されている既成ルート上をなぞっただけだったことも、一般国民をしらけさせたのかもしれません。いずれにせよ、世界中のビジネスマンが最も注目している中国で、新たな段階が切り開かれようとしていることは間違いありません。
丁度1年前、欧州に国境を越えた共通通貨「ユーロ」が誕生しました。そして今日、中国にとって最大の政治的な「敵」である台湾への直行便が、一時的であれ開設されました。世界の市場は、次第に政治家の思惑を超えて、グローバル化が急速に進んでいる思いがする、正月明けです。